休職中ケアマネのゆるい暮らし

46歳男性既婚ケアマネがいろいろあって適応障害の診断を受けて仕事を休んで家にいる日常を綴ります。男性でそこそこがんばってきて、そこそこの年齢で、いったん立ち止まった人と共感できればいいなと思います。

実家のことも見直してみたよ(切手編)

自宅から車で10分ほどのところに両親が住んでいます。父が82、母が77歳なのですが、その年代の人が若いころに切手収集ブームがあったらしく、母はその頃に買い集めた切手シートをアルバム5冊ほどに収め後生大事に今まで生きてこられたわけです。が、歳も歳だしそろそろなんとかしようと思ったらしく近所の金券屋に持ち込んだところ額面50円以下は買い取り不可で、50円以上でもミミがついてシートのもののみで50%で引き取る、バラのものは引き取り不可、とのことで憤慨して帰って来たそうです。

見ると2円だの5円だの7円だのと、こりゃカウントするのも手間がかかり引き取らないだろうなあという切手オンパレードでした。そこで親孝行な息子(私のことですが)は、切手の下取りに強そうな店を探すことにしました。自宅に来て査定してくれる業者もあるようですが、ネットを見るとあまりいい評判を見ないので、ちゃんと店を構えている業者さんを何店か探し、母と切手を連れて出かけることにしました。

いざ出かける時になって実は・・・と母が切手のほかに未使用の黄ばんだ古いはがき、未使用のテレフォンカード(知ってる?)15枚、未使用のメトロカード(知ってる?)1枚、鼈甲のメガネ、朝鮮人参酒、クルーガーランド金貨、パンダ金貨、古銭など出るわ出るわ・・後出しジャンケンの山を買い物カゴにいっぱい詰めて差し出して来ました。さすが長い間生きていると将来使うだろう、将来のために備えなければという心配の塊をもっているものですね、ぜんぜん切手だけじゃないじゃん・・・と半ば呆れながら出発しました。

一軒目は大きなショッピングモールの片隅にひっそりと店を構えているところで、やはり50円以下の切手はレートが低く30%、50円以上でシートなら60%、バラは引き取らないとのことでした。あまりにあんまりだとのことで切手は手放さず、他のものを査定してもらうことになりました。朝鮮人参酒は薬事法の関係で薬剤師がいないと引き取れず、古銭は状態が悪すぎて引き取れず、金貨は土壇場で手放したくなくなって手放さず、あと鼈甲のメガネはさすが3万円、テレフォンカードは額面500円が未使用で1枚300円で15枚で4500円で引き取られ、34500円を受け取って店を出ました。一軒目の戦果としてはまずまずとお互いうなずき合い二軒目の地元密着型の何十年もやっているような店に向かいました。

そこは狭い雑居ビルの半地下の一室でおじさん1人でやっている店で、我々が入ろうとするとドアをあけて迎えてくれ、重いアルバムの入った買い物かごを受け取ってくれようとするような、かんじの良い第一印象でした。その店の中は骨董品が所狭しと並べられ、一見雑然としていました。システムとしては額面関係なく60%で引き取るとのことだったので、もうそこで切手を手放すことにし、おじさんは集計作業を始めました。

はじめはおじさんの仕事に手を出してはいけないものと思い見ていましたが、すでに14時を過ぎており、開始2分ほどでこれは今日中に終わらないものと思い手伝いを申し出、母と私と3人での集計作業に切り替えることになりました。母が切手の枚数と額面を読み上げ、おじさんが掛け算して集計し、私には電卓とメモ帳を渡され1人で集計しました。黙々と業者のような集計作業が続きある種の連帯感が感じられる時間が過ぎ、ようやく作業が終わってもう3時半で、全員が普段使わない脳を使ってヘトヘトの状態でした。

集計の結果、買い取り額は89,000ほどで、おじさんは私ひとりで行った集計作業を疑うこともなく、駐車場代としてキリよく90000円としてくれ、気持ちよく店を出ることができました。

帰りの道中、今はまだとにかく意思疎通ができこうやって終活ができるけれど、みんな多かれ少なかれこういう財はもっているはずで、その多くは遺品整理として十把一絡げにされてしまうに違いない、母としては結婚前から50年以上も暖めていた切手が、ある程度納得できる形で、今回とりあえず切手だけでも整理できてよかったよかった、と話しながら帰りました。

まだまだやること、処分すべき財はあるかもですが親はなかなか手の内を明かさないので、とりあえず切手だけでも一区切りできてよかったです。